先月の給与明細を見て、思わず二度見しました。
去年の夏ごろから、毎月の手当が数千円単位で増えているんです。
最初は「なんか増えてる気がするな」くらいにしか思っていなかったのですが、よく見ると「ベースアップ」という項目が明細に追加されていました。
病棟看護師として12年。途中で転職も経験しましたが、ずっと病院勤務を続けてきた私でも、正直この制度をちゃんと理解したのはつい最近のこと。
「自分の給料がなぜ上がったのか、ちゃんと説明できますか?」
この記事では、実際に給料が上がった当事者として、ベースアップ評価料という制度を一から整理してみます。特に病院勤務の看護師さんに読んでほしい内容です。
この記事でわかること
- ベースアップ評価料とは何か(1分でわかる)
- 実際にどのくらい給料が上がったか(体験談)
- 自分の病院が届出しているか確認する方法
- 給料に反映されていない場合どうすればいいか
ベースアップ評価料とは?まず1分で理解する
ベースアップ評価料とは、一言でいうと
「職員の給料を上げると届け出た医療機関に、国がお金を出す仕組み」
2024年(令和6年)の診療報酬改定で新設され、2026年(令和8年)の改定でさらに大幅に拡充されました。
流れはこうです。
① 病院が厚生局に届出を出す 「うちは職員の基本給を〇%上げます」という計画書を提出します。
② 国が点数(=お金)をつける 届出が認められると、患者さんが入院・受診するたびに「ベースアップ評価料」として病院に加算が入ります。
③ 病院がそのお金を職員の給料に充てる この加算で得たお金は、全額・職員の賃金改善に使わなければならないというルールがあります。
つまり、国が「給料を上げるためのお金」を出してくれているわけです。ただし、病院が届出をしていなければ、このお金は一切入ってきません。
実際に私の給料はいくら上がったのか
では、実際に私の給料がどう変わったか、お話しします。
一昨年(2024年)夏ごろから、給与明細に「ベースアップ」関連の手当項目が追加されました。金額としては、当初8,000円程度、去年(2025年)の夏ごろから12,000円程度とそれまでより月1万円前後のプラスになっています。
年間に換算すると10万円以上の差なので、正直「じわっと効いてきたな」という感覚があります。
ただ、正直に言います。
基本給は、ほとんど変わっていません。
最近のニュースでもよく目にするように、医療機関の経営は決して楽ではない状況が続いています。病院側も、ベースアップ評価料の加算を給料に反映させながらも、基本給を大幅に上げる余裕はないのかもしれません。
つまり私の肌感覚では、こういうことだと思っています。
「基本給は据え置きのまま、国の制度(ベースアップ評価料)の分だけが手当として上乗せされている」
これが良いことか悪いことかは、正直難しいところです。給料が増えているのは事実だし、国が制度を作ってくれたのはありがたい。でも、病院の経営判断として基本給に反映されていないというのは、少し引っかかる部分でもあります。
厚生労働省の資料によると、2026年度の賃上げ目標は看護師で+3.2%とされています。基本給25万円なら月約8,000円の増加が目安。私の実感とも大きくズレていないので、制度自体はちゃんと機能しているのだと思います。
ただ、「制度が機能している」と「基本給が上がる」は別の話。この違いを意識しておくことが大事だと感じています。
病院勤務なら安心?実は油断できない理由
「病院勤務なら届出率90%だから大丈夫でしょ」
私も最初そう思っていました。でも、届出していることと給料にちゃんと反映されていることは、別の話です。
厚生労働省のデータによると、病院の届出率は確かに約90%。クリニックの約40%と比べれば高い数字です。でも裏を返せば、病院でも1割は届出していないということ。
さらに注意が必要なのが、届出はしているのに給料への反映が不十分なケースです。
2024〜2025年度の実績では、賃上げ目標4.5%に対して実際の達成率は全体で約3.4%にとどまっているというデータがあります。届出済みの医療機関でも、目標を100%達成できていないところが多いのが現実です。
私自身も、明細に項目が追加されてはじめて「あ、うちは届出してたんだ」と気づいた一人。自分から確認しないと、気づけないことの方が多いです。
自分の病院が届出しているか、確認する方法
確認方法は意外とシンプルです。
方法① 給与明細をチェックする
一番手っ取り早いのはこれ。「ベースアップ」「処遇改善」「賃金改善」といった項目が明細に追加されていれば、届出済みの可能性が高いです。私もこれで気づきました。
方法② 厚生局の名簿で調べる
より確実に確認したい場合は、自分が働いている地域の厚生局のホームページにアクセスして「施設基準の届出受理医療機関名簿」をダウンロード。「外来・在宅ベースアップ評価料」や「入院ベースアップ評価料」の欄で病院名を検索できます。誰でも無料で確認できます。
方法③ 事務長や人事に直接聞く
「ベースアップ評価料って届け出てますか?」と聞くだけでOKです。12年病院で働いてきた私の経験上、こういうことをちゃんと聞ける関係性を作っておくのは大事だと思っています。
給料に反映されていない場合、確認すべき3つのこと
もし「届出はしているはずなのに、明細に変化がない」という場合は、以下の3点を順番に確認してみてください。
① 本当に届出しているか
まず厚生局の名簿で確認。届出していなければ、そもそも加算が入ってきていません。
② 届出しているのに明細に反映されていないか
届出済みなのに給料に変化がない場合、病院側の配分方法に問題がある可能性があります。「加算で得たお金は全額賃金改善に使う」というルールがあるので、事務長や人事に確認する価値があります。
③ 目標値に達していない可能性
届出はしていて、多少は反映されているけど「思ったより少ない」という場合。先ほどお伝えしたように、目標値を100%達成できていない医療機関は少なくありません。ただしこれは、病院の経営状況にも左右される部分なので、一概に「おかしい」とは言えないのが正直なところです。私自身もそのひとりかもしれません。
それでも改善しないなら、届出済み病院への転職も選択肢
ここまで確認して、それでも「うちは届出していない」「給料に反映される気配もない」という状況なら、転職を視野に入れるのは十分合理的な判断だと思います。
12年間ずっと病院で働いてきた私が言うので、重い話に聞こえるかもしれません。でも、国が制度を作って給料を上げようとしているのに、職場がそれを活用しないというのは、働く側にとってはっきりとした損失です。
転職先を選ぶときは、厚生局の名簿で届出済みかどうかを事前に確認するのがおすすめです。求人票には載っていない情報なので、ここを調べておくだけで職場選びの精度がぐっと上がります。
転職サポートを使うなら、担当者に「ベースアップ評価料を届出している病院を探したい」と伝えてみてください。条件として指定できる場合もあります。
\ 求人数・サポート体制で選ぶなら /
ナースではたらこ ※PR・登録無料・非公開求人多数
レバウェルで高給与の求人を探す → ※PR・登録無料・LINEで相談OK
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
- ベースアップ評価料=国が医療機関に「職員の給料を上げるためのお金」をつける制度
- 病院の届出率は約90%だが、届出=給料に反映済み、ではない
- 私自身は昨年夏から月1万円前後のプラスを実感。ただし基本給は据え置き
- 給与明細・厚生局の名簿・人事への確認、で自分の職場の状況は調べられる
- 改善の見込みがないなら、届出済みの病院への転職も合理的な選択
「制度があるから大丈夫」ではなく、「制度が自分の給料にちゃんと届いているか」を自分で確認する。それが今の時代に病院で働く看護師に必要なことだと、12年目の私は思っています。
あなたの頑張りが、ちゃんと給料に反映される職場であってほしいです。